-ひとりの視点-
syashin-oikawa
STANCE 1〜5
STANCE 1
風景にたたずむのが好きです
好きな場所へ何度となく訪れます
留まることなく、漂い流れる
ひと時として同じように感ずることなく
すべてを包み込む自然という器なのでしょうか
ヒトの力では思い通りにねじ伏せることは出来ません
眼前の光景を研ぎすまされた心で
冷静に切り撮れるでしょうか
建物はそんな自然の中に建っています
街中であれどこであれ新しい景色を
そこに創りだしてゆきます
完成した時が終着ではなく
建築家という創り手から住い手による創造が加えられ
時と共に(古くなるのではなく)変化してゆく
写真はその時々の情景をどれだけ感じ留められるのでしょうか
外面の美しさのみにとらわれることなく
建物の醸し出す内面の美、空気感の様なものが
写し撮れればよいと思っています
STANCE 2
建築の発想の根源は
自然に依存するのではないのでしょうか
線にしても,面にしても同一なものなど一切ない
同じように見えても似ているだけで同じではない
自然界に存在する多くのものにその出発点を見いだせば
平坦に見えても近づくと凹凸があったり、波打っていたり
大きな平面がごく小さな曲面の集まりであったり
小さな直線が集積して曲面を形成したりします
「ヒトの視点がどの尺度でどの方向を見ているのかによって
もののある一面しか表現されていない」
ということのように思います
建物の場合、一つの面を写真にとらえるのは比較的やさしい
しかし空間としてその空気感をとらえるのは難しいと思います
それ故、人工的に写真照明するのは熟慮し控えていたいです
また写真はつくり出すものではなく
見つけ出す要素が多いと考えます
そこに存在するものの内より何を見出せるのか
外面的なものと内面的なものどう選択してゆけるのか
「建築物の品格は人間の人格の如く
その外装よりも内容にある」
W.M.Vories
STANCE 3
自然を広くとらえるとき
素材や工法の他に風雨や光陰なども含めます
太陽が昇り沈む間いろいろ景色景観は変化しています
建物では人工的に照明が点くことで
夜に出来る景観は少し趣きが変わります
内外の隔たりが昼と朝夕の姿,闇夜の姿と映ります
この時にも自然の中に存在していることを感じます
照明があふれる都市に於いて
完全に暗闇に覆われることが少ない時代
外に向かう照明(外観として)と
内に向かう照明(室内の灯り)の比重が
いかに難しいかが理解出来るのではないでしょうか
どの様に人にやさしい
自然にやさしい照明が出来るのか
どの様な風情が機能が優先されているのか
何を生かせばよいのか生かせるべきなのか
創り手と使い手の難しいところなのでしょう
STANCE 4
まわりに既に存在するものの中で
その建物自身もさることながら
他の建物への考え方がどうなのかによって
馴染んでとけ込んだり突出したりするように思います
どの様に違うのか違えてあるのか
一時期奇抜なものがもてはやされた時もあった様に思えるが
そうではない何かとは何なのでしょうか
ただの思いつきや自己主張だけではないもの
哲学や理論の上に立った本来の目的に根差すもの
人にも自然にも語りかける建築とは
それを見つけ出す手掛かりとして
写真は何をどう伝えられるのか
試してみたい
STANCE 5
自然の中にずっと居たい
止めどなく変わる
人間の時間経過より遥かにゆったりと
変わる自然にふれていたい
じっと
協力
芳村設計・研究所
草風庵建築工房
(有)羽根建築工房
(株)フリーダム
南光町自然観察村(長林キャンプ場)
Photos おいかわ 及川雅文 mail:photos_oikawa@ybb.ne.jp